1.水道の給水状況

給水人口・普及率・年間給水量の推移

給水人口・普及率・年間給水量の推移

※年間給水量のピークは平成9年の170.62億m3

 水道は全国で12,135箇所あり、そのほとんどが小規模です。令和2年度、日本で水道を利用している人は全国で1億2,339万人であり、総人口の98.1%になります。また、令和2年度中の年間給水量は約150億m3/年でした。


2.水道水源と浄水処理方法

水道水源の種別(上水道+用水供給の合計)

水道水源の種別(上水道+用水供給の合計)
浄水処理方法別の浄水量

浄水処理方法別の浄水量

 令和2年度の年間取水量は約155億m3です。水道の水源のうちダムに貯留された水及び河川水、湖沼水が約4分の3を占めています。また、浄水処理方法は、急速ろ過、緩速ろ過、膜ろ過、消毒のみの4つの方式に分類されますが、いずれの方式を採用する場合でも消毒施設を設け、塩素剤による消毒を行うことが義務付けられています。
 近年では、水道水源の水質悪化等から、おいしい水を得るために膜ろ過や高度浄水処理も採用されています。この高度浄水処理とは、通常の浄水処理では十分に対応できない臭いやトリハロメタン等を、活性炭処理やオゾン処理、生物処理等により除去する方式のことをいいます。


3.水道施設の整備

管種別管路延長(用水供給を含む)

管種別管路延長(用水供給を含む)

 全国の管路の総延長は、令和2年度には739,403kmとなり、管路の整備が図られていることがわかります。なお、老朽管更新事業の推進により、鋳鉄管、石綿セメント管更新時には、耐震性を有した管と交換するなど、計画的に整備を進めています。


4.水道水の生産費用

水道水1m3当たりの生産費用

水道水1m3当たりの生産費用

 水道水1m3当たりの生産費用は、減価償却費、受水費、動力費等で構成されています。このうち、減価償却費は生産費用の約3割を占めています。これは、老朽化した水道施設の再構築や、水質の安全性と水道水源の安定を確保するためのダム等への投資、また水源の水質悪化に伴う高度浄水処理の導入等が要因として考えられます。


5.水道の料金

1カ月の消費支出総額に対する水道料金の割合(全国平均)

1カ月の消費支出総額に対する水道料金の割合(全国平均)

 水道運営にかかる経費は、独立採算制を原則として水道料金によって賄われています。皆さまが水道に支払うお金(2,373円/月)は、消費支出総額に対して0.9%です。


6.安全で安心な水道水の供給

水質基準項目及び基準値

水質基準項目及び基準値

 水道では、皆さまに安全で安心な水を供給するため、51項目の水質基準が定められています。この水質基準を満たした水道水を供給しているかを確認するため、水質検査を定期的に実施しています。
 また、水道水の安全性を一層高めるため、水源から蛇口までのきめ細かな水質管理を実施しています。水質基準を超過するおそれのある場合は、原因を特定するとともに、浄水場等の運転管理方法の変更や水道施設の改善などで対応しています。


7.これからの水道

 日本の水道は、普及率98.1%(令和2年度末時点)に達し、水質の面でも世界に誇る安全でおいしい水の供給を実現し、私たちの生活基盤として欠かせないものとなっています。
 皆様のまちの水道事業(市町村の水道局などが経営)は、皆様からいただく水道料金によって支えられていますが、人口減少に伴う料金収入の減少、水道施設の老朽化、職員数の減少等の課題に直面し、水道を取り巻く状況は非常に厳しくなっています。

■ 将来世代に水道を引き継いでいくために

 水道の基盤強化を図るため、令和元年10月に改正水道法が施行されました。
 改正水道法では、水道事業者(市町村の水道局など)が、長期的な観点から、施設の計画的な更新に努めることや、収支の見通しを作成し公表するよう努めなければならないとされています。
 水道施設の更新をしっかりと行って、子や孫の世代までこの質の高い水道を引き継いでいくためには、水道料金の適正化や、近隣の水道事業との広域連携などを検討していくことが必要です。
 お住まいの都道府県や皆様のまちの水道事業では、どのような対策が検討されているのか、ホームページなどで確認してみてください。

■ 災害に対する飲料水の備蓄について

 近年、地震や豪雨災害等において、水道が大規模に断水している事例があります。今後、南海トラフ地震や首都直下地震などの大規模災害も想定されることから、大きな地震や洪水が起こった場合の水道の断水に備え、日頃から飲料水の備蓄を「一人当たり一日3リットル×3日分」お願いします。