施設基準における薬品の規制に関するQ&A
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Q1 | なぜ施設基準に薬品が入っているのか? | 目次へ | |
A1 | 浄水施設は水道法第5条第1項第4号で水質基準に適合する浄水を得るための施設とされ,施設基準省令第1条第16号で添加する薬品もその一部としているためである。 | ||
Q2 | この規制事項の所管は,水道事業体内のどこになるのか? | 目次へ | |
A2 | 施設基準に適合しているかどうかの検査は水道技術管理者の業務である。(水道法第19条第2項第1号) | ||
Q3 | 施設基準省令第1条第16号に係る規制に関して,水道事業者はどのような管理を行えばよいのか? | 目次へ | |
A3 | 水道用薬品の購入仕様書の品質確認,納入品の試験結果書等の確認,使用時において施設基準省令に適合していることの確認,関係書類の保管などの管理を行うことが求められていると解釈される。 | ||
Q4 | 通常の定期水質検査との違いは何か? | 目次へ | |
A4 | 定期水質検査は,当該水道により供給される水が水道法第4条に定める水質基準に適合するかを判断するために行うものである。対して,薬品の試験は,当該薬品を最大設定注入率で注入した場合においても水質に対する影響を及ぼさないことを評価するために行うものである。 | ||
Q5 | 浄水処理過程より前又は後に入れる薬品は対象外か? | 目次へ | |
A5 | 浄水処理の前後に関係なく,注入する薬品等はすべて対象となる。 | ||
Q6 | 排水処理に使用する薬品についても規制の対象になるのか? | 目次へ | |
A6 | 排水を着水井等に返送している場合には,排水処理で使用された薬品に由来する物質が浄水処理過程に付加されるので,施設基準省令第5条第1項第12号の規定「浄水処理排水を原水として用いる場合にあっては,浄水又は浄水処理の工程に支障を生じないように必要な措置が講じられていること。」を考慮する必要がある。 なお,排水が着水井やいずれの浄水処理過程にも返送されていない場合は,施設基準省令に定める薬品基準の対象とはならない。 |
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Q7 | この薬品規制はどのような薬品を想定しているのか? | 目次へ | |
A7 | 浄水又は浄水処理過程において注入される薬品全てである。 薬品試験方法ガイドラインでは例として,硫酸アルミニウム,ポリ塩化アルミニウム,水酸化ナトリウム,炭酸ナトリウム,水酸化カルシウム,硫酸,次亜塩素酸ナトリウム,高度さらし粉(次亜塩素酸カルシウム),食塩,粉末活性炭,ケイ酸ナトリウム,塩酸,液化塩素,硫酸銅,過マンガン酸カリウム,塩化第二鉄,硫酸第二鉄,ポリシリカ鉄,ポリアクリルアミド,二酸化塩素,塩素酸ナトリウム,亜塩素酸ナトリウム,亜硫酸水素ナトリウム,亜硫酸ナトリウムを示している。 |
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Q8 | この規制に適合しない薬品を使用してもよいのか? | 目次へ | |
A8 | 適合しない薬品は使用できない。 | ||
Q9 | 今後市販される新しい薬品は規制対象外か? | 目次へ | |
A9 | 対象外ではない。 | ||
Q10 | 適合することを確認する方法は? | 目次へ | |
A10 | 薬品試験方法ガイドライン別添p.2「2 水道薬品の評価について」のとおり,次の手順で確認する。 ○まず,水道用薬品の最大注入率を設定する。 ○次に,最大注入率における,水道用薬品から付加される各評価項目の濃度等を確定する。 ○最後に,水道用薬品が各評価項目について評価基準を満たすかどうかを確認する。 評価方法の概要フローは別添p.6の図1に示されている。 |
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Q11 | 評価基準の項目の中に,どうして水質基準項目でないものがあるのか? | 目次へ | |
A11 | 水道水質基準項目以外にも,水質管理目標設定項目,要検討項目のうち,原材料として用いられているものなど薬品等から水道水への移行の可能性があるものを中心に設定したため。 | ||
Q12 | 評価基準の項目は,水質基準51項目全てでないのはなぜか? | 目次へ | |
A12 | 細菌項目や濁度等のように浄水処理される項目や浄水処理で生成される消毒副生成物項目は,それぞれの項目の性質から判断して、評価基準項目としていない。 | ||
Q13 | 評価基準以下であることが,合理的に証明できる根拠がある場合,試験を省略してもよい,とあるが,根拠とは具体的に何か? | 目次へ | |
A13 | 水道事業者が,合理的に証明できる根拠となる文書と解される。具体的には,原材料の分析結果,製造工程管理等の証明書,品質試験結果書などが考えられる。 | ||
Q14 | 水道用資機材の浸出性に係る別表第二と規制項目が異なるのはなぜか? | 目次へ | |
A14 | 資機材と薬品では使用する材料が異なり,溶出,混入しうる物質も異なるため。 | ||
Q15 | 薬品試験方法ガイドライン別添p.28の参考資料表2の「設定最大注入率(例)」とはどのような値か? | 目次へ | |
A15 | 安全率を見込んで評価するために設定する最大注入率の例である。実際の設定については,水道事業者等が使用状況等を踏まえ設定する。 | ||
Q16 | 薬品試験方法ガイドライン別添p.28の参考資料表2の「実績最大注入率」とはどのような値か? | 目次へ | |
A16 | 当該の施設において過去に発生した最大注入率であり,表中の値は過去報告があった例である。実際は,自らの施設における過去の最大注入率を設定する。 | ||
Q17 | なぜ最大注入率のX倍濃度で試験するのか? | 目次へ | |
A17 | 薬品試験方法ガイドライン別添p.5「3 評価のための試験方法の概要」では,「評価基準の値の1桁下まで定量することが望ましい」と述べられている。しかし,分析機器によっては評価基準の値の1桁下まで定量できない場合がある。 したがって,水質基準値等に相当する設定最大注入率のX倍濃度の試験溶液を調製することとしているが,別添p.15の表2に示す各項目の試験方法に用いる分析機器の性能・試験条件等により、定量感度がよい場合には,Xを1としてもよい。 |
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Q18 | 定期的にサンプリング及び試験を行うとあるが,定期的とはどのような意味か? | 目次へ | |
A18 | 製造工程の品質管理の実状,製品の品質のばらつき等を考慮し,水道事業者の判断で適宜決めることになる。 | ||
Q19 | その他試験の必要性が生じたときとは,どんなときか? | 目次へ | |
A19 | 必要性が生じるケースとしては,試験の結果が評価基準に不適合となり,適合品が交換納入されるような場合,新規納入される場合などが考えられる。 | ||
Q20 | 一つの薬品の評価試験において,項目によって不純物付加濃度計算法と評価試験方法とを使い分けてよいのか? | 目次へ | |
A20 | 薬品試験方法ガイドライン別添p.2「2 水道用薬品の評価について」の(2)において,「あらかじめ評価項目となっている不純物等の含有量がわかっている場合は,次式で求められる不純物付加濃度を評価基準値と照合して評価することができる。 不純物付加濃度(mg/L)=不純物の分析値(mg/kg)×当該薬品の最大注入率(mg/L)×10−6 」 としているので,評価試験方法と不純物付加濃度計算法のいずれでもよいと解釈でき,二つの方法を使い分けてもよいと解される。 |
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Q21 | 凝集剤については,通常の方法で不適合になった場合は,凝集・沈澱・ろ過処理を行った後の試験溶液について分析・評価してもよいとあるが,通常の方法をとらずに最初からこの操作を行ってよいのか? | 目次へ | |
A21 | 薬品試験方法ガイドラインの趣旨からいえば,凝集剤についてはいずれの方法で適・不適を評価してもよいと解されるので,最初から凝集・沈澱・ろ過処理を行っても構わない。 | ||
Q22 | なぜ凝集剤のみ凝集,沈澱,ろ過を行って評価するのか? | 目次へ | |
A22 | 凝集剤については,不純物として含まれているものであっても,凝集過程により除去されるものがあると考えられるからである。 浄水処理用の薬品の評価は,実際の浄水処理過程に使用して評価することが望ましいが,安全性が未知の製品についてはこのような評価方法はとり得ない。そのため,容易に採用し得るビーカーテストにより評価することになっている。ただし,凝集剤については,薬品注入率の決定によく使用されているジャーテスターがあるので,これを採用してテストする方法も取り入れられたと考えられる。 |
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Q23 | 各薬品ごとに試験溶液の調製方法が異なるのはなぜか? | 目次へ | |
A23 | 水道用薬品の中には,形状としては固形又は粉体,液体,気体のものがあり,化学的性質としては酸化剤,還元剤,酸,アルカリ剤,凝集剤などがある。これらの特性を考慮した上で調製方法を定めている。 | ||
Q24 | 味の試験方法において,口に含んで味を調べるとあるが,安全性に問題はないのか? | 目次へ | |
A24 | 安全性に配慮して試験を行っていただきたい。 | ||
Q25 | この薬品規制は,一つの浄水場で同時に使用する薬品全体でのことか? | 目次へ | |
A25 | 施設基準省令第1条第16号は,浄水処理等で使用される個々の薬品について規定している。浄水場で使用する各薬品のそれぞれに対して適用される 。 | ||
Q26 | 試験結果書の書式はどのような形式か,結果書の保存年限は何年か? | 目次へ | |
A26 | 書式の定めはない。保存期限については,水道事業者が判断するものと考える。 | ||
Q27 | この規制に係る業務を委託してもよいのか? | 目次へ | |
A27 | 施設基準省令及び薬品試験方法ガイドラインに,この業務を自ら行わなければならないとは規定されていないので,委託してもよいと解される。ただし,施設基準を遵守する責任は水道事業者にある。 | ||
Q28 | 委託できる業務の内容(範囲)は? | 目次へ | |
A28 | 定めがないことから水道事業者の判断で決定して差し支えない。ただし薬品基準への適合を確認するのは水道事業者(水道技術管理者)の業務である。 | ||
Q29 | 薬品規制に係る業務の委託先は? | 目次へ | |
A29 | 例として計量法による濃度計量証明事業所,厚生労働大臣の登録を受けた水質検査機関が考えられるが,水道事業者の判断で決定して差し支えない。 | ||
Q30 | 日本水道協会による認証品の供給について | 目次へ | |
A30 | 水道用薬品についても,日本水道協会の品質認証センターにおいて,JWWA規格適合の審査を実施しており,適合品の認証登録を公開している。これらの適合品は,施設基準にも適合している。 |