3月11日の東北地方太平洋沖地震発生に起因する福島第一原発の停止を受け、東京電力の電力供給能力は、約2,100万kWが欠落(約5,200万kW から約3,100 万kW へ約4割減)しました。この結果、東京電力管内におけるこの時期のピーク時の想定需要量約4,100 万kW に対し、約1,000 万kW の大幅な供給力不足が発生しました。
このため、ピーク時における電力の需給バランスを適切に保ち、予測不能な大規模停電を回避するため、系統の変電所に則した需要のかたまり毎に順次停電させる「計画停電」による対応が行われ、断水等が生じるなど、水道事業をはじめとした経済・産業活動に多大な影響を及ぼしました。
4月8日に電力需給緊急対策本部から公表された「夏季の電力供給対策骨格(案)」では、今後も節電への取組が維持・強化されることを前提に、計画停電は「実施が原則」の状態から、「不実施が原則」の状態へ移行されました。
しかし、同案では、あわせて節電対策として大口需要家(水道事業体等の地方公共団体を含む)に対し、最大使用電力25%程度の削減についても提示されました。
4月28日には、国から削減目標を一律15%に引き下げると発表がありましたが、それでも日本全体の電力消費量の約1%(76.38億kW)を使用する水道事業体にとって、実施可能な節電対策にも限りがあることから非常に厳しい状況となっていました。
また、今後、水需要が増加する夏場に向けたシミュレーションをしたところ、関東7県で最大約400万人に対し影響を与える可能性が分かり、住民生活はもとより、人命に関わる医療活動、消防活動や産業活動等にも重大な支障が生じる危険性が出てきました。
そこで5月11日、日本水道協会では、これらの重大な支障を回避するために民主党の電力需給緊急対策PT及び厚生労働省に対し、「夏期の需給逼迫期に向けた電力使用制限に係る水道施設等の適用除外及び節水の呼びかけ」について要望活動を実施しました。
要望内容は、これまで水道事業体が節電対策を講じてきたことを説明した上で、今後、国による削減目標(一律15%)を達成するためには断水等が生じてしまうこと。
その結果、住民生活だけでなく、人命に関わる医療活動、消防活動や産業活動等にも重大な支障が生じることを説明し、電力規制の適用除外を求めました。
また、あわせて水道使用者が節水をすることで大きな節電効果を得られることから、節水の協力を国として広く呼びかけてもらえるよう要請しました。
この要望活動の結果、電力使用制限緩和の対象に「生命・身体の安全確保に不可欠な需要設備」として上下水道が挙げられ、削減率は5%に抑えられたことから、要望活動について一定の成果を得ることが出来ました。
今後も日本水道協会では、会員事業体と協力して皆さまのライフラインを支えるため、活動を行っていきますのでよろしくお願いいたします。