日本水道協会では、水道の普及発達に特別の功績がある方を、総会の承認を経て、名誉会員に推戴しています。
この度、令和3年12月1日に開催された第99回総会において、小倉 晉 氏(元神戸市水道事業管理者)が名誉会員に推戴されました。
この度、名誉会員にご推挙いただき、身に余る光栄であり、心より感謝申し上げます。
私は40数年にわたり水道事業に従事し、市民に信頼される水道をめざして務めてまいりました。拡張につぐ拡張の時代から、水需要が峠を越えて規模縮小の時代への大きなうねりの中で数多くの経験をさせていただきました。その中での最大の出来事が阪神淡路大震災であります。
営々と築き上げてきた街と水道が一瞬のうちに崩れました。ショックと混乱から始まり、被害状況の把握と復旧、その過程で得られた教訓に基づく復興計画の策定という数ヵ月間の経験は私には貴重で重いものでありました。しかし、26年前のこの経験が水道界の今に活かされていることは感慨深いものがあります。
施設整備の面では、整備水準を高くして、大きな前進を続けています。また、全国の方々からいただいた支援への感謝の思いは忘れられず、今、思い返しても胸が熱くなります。その支援の経験と教訓が、全国の関係者と共有できたことで、水道協会を中心とした事業体間や産業界との連携態勢が整備されたことに繋がっています。昨今の事故や災害においても支援の輪が各地で拡がっています。
現在、水道事業の経営環境は大変に厳しい状況にあると思われます。さらに、ITをはじめとする技術のめざましい発展等により、事業の運営や施設の管理などのあり方も大きく変化し、ますます舵取りが難しくなっていると思います。しかし、水道事業は永遠に続けなければならないものであり、市民に信頼される水道をめざすという理念は、変わらずに続いていくものと思います。皆様方のご奮闘を心より願ってやみません。私も水道事業の発展に些かなりとも寄与できればと思っています。容易なことではありませんが、今後とも、よろしくお願い申し上げます。
計 7 名