令和3年度 日本水道協会全国会議(オンライン開催)

東日本大震災から10年の歩み

仙台市水道局 震災対策情報発信プロジェクトチームの取り組み ②

研修教材(災害エスノグラフィー)作成の取り組み

 仙台市水道局では、名古屋大学と共同で、災害エスノグラフィーという手法を用いた調査をもとに、研修教材の作成に取り組んでいます。災害エスノグラフィー調査では、東日本大震災において実際に災害対応に当たった水道局職員に聞き取りを行っており、この調査を基に人材育成用の研修教材を作成しています。
 この教材を活用した研修については、大規模災害時の判断が難しい状況の中で、「あなたならどうする?」という選択をしてもらい、職員同士がディスカッションすることで、震災経験の継承や災害対応力の向上を図ることを目的としています。本市水道局内で試行したあと、局外の皆さまにもノウハウや教材を公開していく予定です。
 以下に、現在検討中の研修の概要や教材について、ご紹介いたします。

1.研修概要

 研修は、パワーポイントで形成される「教材」と、教材中の設問に回答するための「A・Bカード」、意見を集約するための「意見集約表」を用いて行います。
 教材は、置かれている状況を説明する「状況シート」、その状況で生じている問題とそれに対して考えられる二者択一の選択肢を示す「設問シート」、そして震災当時にとった対応を示す「対応シート」から構成されます。
 ファシリテーターは教材の内、「状況シート」および「設問シート」を読み上げ、プレーヤー(研修受講者)に自分ならその状況下でどのように対応するかを考えさせます。プレーヤーは自身が決めた選択肢を示す「A・Bカード」を選び、裏向けの状態で自分の前に置きます。全員がカードを置いたら、一斉にカードを表にし、プレーヤーは何故自身がそのカードを選んだのか各選択肢のメリット・デメリット等を示しながら意見していきます。そうして集まったメリット・デメリットを「意見集約表」に記していきつつ、デメリット関し、そのデメリットを軽減する為の方法等を話し合います。最後に震災当時の対応を参考例として共有し、1題あたりの検討が終了となります。

2.用意するもの

  • 教材(パワポスライド)
  • A・Bカード
  • 意見集約表
  • ポストイット&ペン

3.実施のポイント

  • (1)グループ構成
    • 1グループあたり、ファシリテーター1名+プレーヤー4~5名程度が適当です。
  • (2)会場
    • A1サイズのシート+人数分の作業(ポストイットに意見を各程度)のスペースが確保できるサイズの机および人数分のイスを用意してください。
    • グループ同士は、それぞれの議論の声が邪魔にならないよう、ある程度離れていることが望ましいです。

4.研修の流れ

 研修の基本的な流れを以下に示します。これは標準的なフローとなるので、適宜変更しても差し支えありません。
(例:最後のグループ発表については、プレーヤーから代表を選び発表してもらう 等)

研修の流れ

5.教材の例

 教材スライドの一部をピックアップして以下に示します。ぜひお試しください。
 教材スライドの一括ダウンロードはこちらから(PPTX:23,262KB)